前回のブログ「イラストレーターを志すあなたへ」の中で書いた、イラストレーターに向いている条件の三つ目の「好きなことに熱中する体質」について、説明したいと思います。
意外に思われるかもしれませんが、幼い頃、私は絵が苦手でした。
幼稚園で絵を描く課題が出ても、何も描けないまま、白紙の画用紙を提出していました。
「絵が描けない、問題のある子供」だったのです。
何をどう描いたらいいのかがわからなくて、お絵かきの時間が苦痛で仕方なかったです。
先生も親も手を焼いているのが子供心にわかりました。
そんな小学校二年生の時のことです。
私の家にいとこのお兄さんがやってきました。
その時持ってきてくれたのが『少年サンデー』と『少年ジャンプ』でした。
生まれて初めて、漫画というものを読みました。
ーー世の中にはこんなに面白いものがあったのか。
この漫画との出会いは、私にとって天啓のようなものでした。
数日後には、漫画を模写するようになります。赤塚不二夫や古谷三敏が好きでした。
休み時間も、家に帰ってからも毎日机に向かって描いていました。
ノートも教科書も落書きだらけ。
先生にも絵を褒められ、嬉しくなってまた夢中で絵を描きました。
図画の時間も楽しみになりました。
気がつくと、絵が学校の廊下に張り出されるようになっていきました。
あれほど絵が苦手だったことが嘘のようでした。
ひたすらに絵と漫画に熱中する少年となったのです。
今も絵を描いていると、熱中状態に入り込みます。
自分という存在すら忘れ、絵の中に入り込みます。
食事を取るのも面倒だし、一晩ぐらい寝なくても疲れを感じません。
おそらく私は、生まれつき絵の才能があったわけではありません。
もっと上手な人は周りにたくさんいました。
でも上手だった人の多くはいつしか消えていきました。
絵はそれほど上手ではない私が残ったのです。
最近になってつくづく思います。
「絵の上手さではイマイチの私がイラストレーターとしてなんとかやってこれたのは、熱中力が勝っていたからなのではないだろうか」と。
あなたも、幼い頃落書きに熱中した一人でしょうか?
あの熱中した日々を今も覚えているでしょうか?
思い出してください。
少年時代の熱中力を取り戻したら、きっとあなたもイラストレーターになれます。
おそらく、周りにはもっと上手い人がたくさんいるでしょう。
けれど自分の熱中力を信じてください。
絵を描くことが好きで、人を楽しませることも好きで、そして絵を描くことに熱中できるのなら、10年後残っているのはあなたの方かもしれません。
文:「イラストレーターズ通信」主宰 森流一郎
※この文の著作権は森流一郎にあります。著作権法上の例外を省き、無断使用を禁じます。
文:「イラストレーターズ通信」主宰 森流一郎
※この文の著作権は森流一郎にあります。著作権法上の例外を省き、無断使用を禁じます。