ラベル イラストレーションを発注する企業と担当者の皆様へ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル イラストレーションを発注する企業と担当者の皆様へ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年5月20日水曜日

『年鑑イラストレーターズ通信』差し上げます





『年鑑イラストレーターズ通信』はーー
プロ・イラストレーター団体「イラストレーターズ通信」による、イラストレーション年鑑です。
2000年に創刊。毎年4月頃に発行しています。
毎号二百数十人のイラストレーターの作品と連絡先を掲載しています


お仕事を依頼するイラストレーターをお探しの際に、是非ご利用ください。


広告代理店、出版社、編集部、デザイン会社、編集プロダクション、企業内販促・宣伝部、その他のイラストレーションを発注する企業・団体・自治体等に、無料で発送しています。
もちろん、フリーランスの皆様にも対応しております。

希望の場合は、

・ご職業 
・会社名
・部署名 
・お名前 
・ご住所 
・ご希望の年度と部数
(現在在庫があるのは、2022年度版のみ)


を電子メールでお知らせください。

無料で送らせていただきます。送料も必要ございません。

電子メールアドレス: iratsu@moriillustration.net


大変申し訳ございませんが、イラストレーションを発注するご職業でない皆様(イラストレーター、イラストレーター志望の方を含む)には無料での送付を行なっておりません。

恐れ入りますが、イラストレーションを発注するご職業以外の皆様は、有料でのご購入をお願いします。
販売は、BASEにて行なっております。

『Shop イラストレーターズ通信』

なお、有料での販売は2022年度版のみ行っております。
2021年度版の販売は行っておりません。
何卒ご了承ください。

2019年12月10日火曜日

ご意見・ご感想を募集しております

イラストレーターにお仕事を発注するご職業の皆様へのお願いです。

『年鑑イラストレーターズ通信』や『Webイラストレーターズ通信』をご覧になって、あるいは実際にイラストレーターにお仕事をご依頼いただいてのご意見やご感想を、電子メールでお寄せください。

今後の団体運営、年鑑制作、あるいはWebサイトのリニューアルをする上での参考とさせていただきます。

いただいたご意見ご感想は、「イラストレーターズ通信」のWebサイト、年鑑、ブログ、SNS、チラシ、その他に掲載させていただく場合がございます。

掲載させていただいた場合は、Amazon商品券1,000円分を差し上げます。


送信先電子メールアドレス:iratsu@moriillustration.net


電子メールでの必要事項
1)お名前
2)職業
3)会社名
4)電子メールアドレス
5)ご意見・ご感想
6)いただいたご意見・ご感想を「イラストレーターズ通信」のWebサイト、年鑑、ブログ、SNS、チラシその他に掲載させていただいてもよろしいですか? 匿名を希望する場合は、その旨ご記入願います。

2019年3月29日金曜日

【「著作者人格権の不行使」について】イラストレーション発注の皆様へのお願い

「『著作者人格権を行使しない』という特約のある契約を強要された」という報告が増えています。
今や、著作権譲渡問題と並ぶ大きな問題となっています。

「著作者人格権を行使しない」という特約のある契約書の一番の問題は、「イラストレーターから必要以上に広い範囲の権利を取り上げること」にあると考えます。

イラストレーター仲間の間で、「著作者人格権を行使しない」と書かれた契約書のことが話題に上り始めたのは、確か6−7年程度昔のことだと記憶しています。
私自身は、25年以上前からイラストレーターをしてきて、「著作者人格権不行使」の契約書は一度も求められたことがなかったです。
特に増えてきたのはここ4、5年のことではないかと思います。


報告が増えてきたため、私もよくわかっていなかった著作者人格権のことを調べててみました。
調べていく中で、「こうした契約書は必要以上に、イラストレーターの権利を取り上げることになる」ことに気がつきました。
著作権関連本を20冊程度は読んできましたが、そうした問題を明確に指摘したものが見つかりません。
もちろん、著作権の専門家向けの書籍の中には扱っているケースもあるだろうとは思いますが、、、
ひょっとするとこのことは、イラストレーション発注担当者はもちろん、弁護士でさえ十分に理解していない可能性があるのではないか? と感じます。

この記事では、
「必要以上に広い範囲の権利とはどういうことなのか?」を解説します。
そして、イラストレーターの仲間が幸せに仕事をしていくための
「イラストレーション発注者とイラストレーター双方が納得できることを目指した解決策」を示したいと思います。

【著作者人格権の解説】
まずーー
著作者人格権の内容から解説します。
著作者人格権には、主に、次の4つがあるとされています。
1)公表権(著作権法18条)
2)氏名表示権(著作権法19条)
3)同一性保持権(著作権法20条)
4)名誉声望保持権(著作権法113条6項)

一つ目の「公表権」とは、未発表の作品を世に出す権利です。
イラストレーターは、いつどんな形で作品を公表するか決める権利を持ちます。
二つ目の「氏名表示権」は、著作物を公表する際に、どんな名前を表示するか(実名、芸名、ペンネームなど)、あるいは名前を表示するのかしないのかを決める権利です。
三つ目の「同一性保持権」は、作品を勝手に修正・改変されない権利です。多くのイラストレーターにとって、作品は自らの分身です。
感情や思想、そのものを込めて描きます。
何かの都合で、変更を加えられることに、大きな抵抗感があることも少なくありません。そうしたイラストレーターの心情を保護するのが、この権利です。
そして4つ目の「名誉声望保持権」は、著作者の名誉や声望を貶めるような利用を禁じる権利です。
著作権法113条6項では「著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす。」とされています。
例えば、美術作品を風俗店の宣伝に使うことなどが、名誉や声望を貶めるような利用に該当すると考えられます。




【著作者人格権不行使の契約を結んだ際の問題点】
一番の問題はーー
「『著作者人格権を行使しない』という特約があまりにも広い権利の不行使を含みすぎている点にある」と、私は考えます。
そのことは、「著作者人格権不行使」の特約がある契約を結んだイラストレーターがどんなことになるか考えてみると分かるでしょう。
「氏名表示権」を行使できないイラストレーターはーー
たとえば、勝手に違う名前のクレジットを入れられても、文句を言えなくなります。
「同一性保持権」を行使できないイラストレーターはーー
魂を込めて描いた作品の構図を大幅に変えられ、人物の表情もポーズも違うものにされたとしても、黙っているしかありません。
「名誉声望保持権」を行使できないイラストレーターはーー
作品がアダルトサイトに使われても、カルト宗教で使われても、極端な政治思想に利用されても、文句を言えなくなります。(※注1)
「一般向けのゲームのためにで描き下ろしたイラストレーションが、一糸まとわぬ姿に改変されてアダルトゲームに使われた」という事例は、実際にあります。
【「切ないエッチシーン満載で…」乙女ゲームのイケメン、エロゲーで〝野獣〟に 女性マンガ家が怒りの提訴】

この事例では、イラストレーションを担当した漫画家が裁判で勝利しました。
でもそれは、「著作者人格権不行使」の契約書を交わしていなかったからだと推測されます。
もし、同一性保持権と名誉声望保持権を含む著作者人格権全般が行使できないのだとすれば、この漫画家にとって、裁判はかなり難しいものになっていたでしょう。(※注2)
大変残念なことに、一部の弁護士は、「企業のリスク回避のため」と称して、「著作者人格権を行使しない」という特約のある契約を奨励しているようです。

多くの企業や出版社は、その弁護士のアドバイスに従って、深く考えることなく「著作者人格権を行使しない」契約書を作っているように感じます。
確かに、この契約は企業がイラストレーターから訴えられるリスクを回避する効果があります。
しかしその一方で、イラストレーターの大事な権利を取り上げることなるのです。そのことをよく知ってほしいです。
企業の論理を優先させるあまり、イラストレーター権利のことを忘れないようにお願いしたいです。
そもそも、この著作者人格権はイラストレーターを始めとする創作者の心情を守るための、とても大事な権利だからこそ、法律では「譲渡できない」と定められているのです。
それを「著作者人格権を行使しない」と、うまく言葉を操ることで、結果的に譲渡したも同然としてしまっていいものなのでしょうか?
たとえば、基本的人権もけっして奪ってはいけない権利です。
なのに、「基本的人権を行使しない」という契約書を作ったとしたら、、、はたしてそれは許される行為でしょうか?
ある企業が、全社員に「労働者としての権利を行使しない」という契約書を強制したとしたら、それは問題ではないのでしょうか?

【著作者人格権不行使の契約にかわる解決策】
ではどうしたらいいのか?
イラストレーターの権利を尊重しながら、しかも企業の業務をスムーズに進めることはできるのか?
私はできると考えます。
イラストレーターの仲間が幸せに仕事をすることができるように、しかも企業の皆さんの業務にしようがないように、私なりに考えた解決策を説明させてください。

まずーー
企業や出版社がこの「著作者人格権不行使の特約」を契約書に盛り込みたい理由は、
・業務を進めていく上で、イラストレーションをトリミングする必要が出てくることがある
・色を一部変更する必要が出てくることがある
・氏名を表示できないケースが有る
という3点が大きいのではないでしょうか?

イラストレーションを業務に使う上で、名誉声望保持権を取り上げる必要はないはずです。(あったとしたら怖すぎます)
他の作者名をクレジットする必要もないはずです。
業務に必要のない、しかもイラストレーターにとってとても重要な、名誉声望保持権や氏名表示権まで含む権利を取り上げるのはおかしいのではないでしょうか?
安易に、業務上必要がない権利まで、取り上げないでほしいのです。

たしかにーー
企業が業務をスムーズ進めるためーー
・イラストレーションをトリミングする必要が出てくることはあるでしょう。
・色を変える必要のあるケースもあると思います。
・広告などでは氏名を表示しないことも理解できます。

ならばーー
著作者人格権の全体を取り上げるのではなく、業務上必要な範囲に限定した不行使特約を盛り込んだ契約にすればいいのではないでしょうか?

解決策1)契約書に、「イラストレーターは、著作物の個性を損なわない範囲において多少のトリミングを承諾する」と盛り込んでおく。
解決策2)多少の色の変更が必要な場合は、「イラストレーターは、著作物の個性を損なわない範囲において多少の色の変更を承諾する」とする。
解決策3)広告では名前を表示しないことも多いです。そうしたケースであっても、「広告においては、著作者の氏名を表示しない」などと、氏名を表示しない場面を契約書に明記しておく。

いかがでしょうか?
これでも多くの場合、問題なく業務を進められるのではないでしょうか?

これでは対応しきれないケースもあるでしょう。
そうした場合はその事案に合わせて契約書の文面を工夫することで、「著作者人格権の不行使」にせずに済むことがほとんどだと思います。

例えばーー
アニメーションの元絵をイラストレーターに依頼する事案を考えます。
この場合、この仕事の性質上、ポーズや表情が変えることが必要です。
こうしたケースでも、安易に「著作者人格権の不行使」を求めるのではなくーー
「イラストレーターは、アニメーションにおいて、ポーズ、表情、構図、トリミング等が変わることを了承する。」と取り決める方法が考えられます。

仕事の性質上、イラストレーションを大きく改変する必要があって、そのことをイラストレーターが了承するのであれば、
「イラストレーターは、作品の改変を了承する。」
とする方法も考えられます。
ここに、「ただし、あまりにも大幅な改変の際は、依頼主はイラストレーターに相談する」と付け加えると、イラストレーターはより安心できるかもしれません。
どこまで改変を許容するかは、イラストレーターによって違います。
契約書作成時は、不行使の範囲をどうするのかについて、ご依頼のイラストレーターと十分な話し合いを持っていただけると幸いです。

イラストレーションの発注担当の皆様、「著作者人格権を行使しない」とする特約について、今一度、慎重に考えていただけるとありがたいです。
誠実に話し合えば、ほとんどのケースで双方が納得できる契約は可能だと信じています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。


(※注1)
「著作権譲渡+著作者人格権不行使」の契約の場合に、イラストレーターの名誉を貶める用途に承諾なく流用することが可能になります。
「著作者人格権の不行使のみ(著作権譲渡はしない)」の契約であれば、イラストレーターの承諾のない用途に流用することは出来ません。

(※注2)
アダルトゲームに流用されたような事案において、
著作者人格権不行使の契約を結んでいたとしてもーー
「こうした利用を差し止め、賠償金を請求する」裁判に訴える手はあります。
著作者人格権不行使の契約が有効かどうかは諸説あり、戦う余地はあるでしょう。
しかし、そうした難しい裁判を戦うことは、多くのイラストレーターにできることではありません。
勝てるかどうか確実でない裁判に大金と時間と労力をかけたいイラストレーターはほとんどいないはずです。
そうしたリスクを抱え込まなければならない理由が、イラストレーター側にあるでしょうか?
全くないのです。




参考資料:Wikipedia「著作者人格権」(https://ja.wikipedia.org/wiki/著作者人格権

※この文章を書くにあたって、顧問弁護士より様々なアドバイスも頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
※2020年7月12日、大幅に加筆修正しました。
※2020年7月13日、再び、加筆修正しました。

2016年8月3日水曜日

イラストレーションを発注する企業様とご担当の皆様へ

いつも「イラストレーターズ通信」をご利用いただいていることに、心から感謝しています。
私たちは、よりたくさんの人々がイラストレーションを楽しみ、心豊かに暮らす助けとなることを願っています。
そして、商品やサービスにイラストレーションという付加価値をプラスすることで、すべてのクライアント様に喜んでいただくことを目指しています。

しかし幾つかお願いもございます。
長くなりますが目を通していただけるととても嬉しいです。

イラストレーターの紹介や仲介

大変申し訳ないのですが、当団体ではイラストレーターの紹介や仲介はお引き受け致しかねます。
当団体は、イラストレーターの森流一郎が個人で運営しております。 
常に手がいっぱいで、そうした依頼に応じる余裕がございません 。 
お仕事のご依頼やお問い合わせは、掲載されている各会員の連絡先に直接お願いします。  


サービス・事業・コンペ・イベント・展覧会などの会員への紹介

何らかのサービス・事業・コンペ・イベント・展覧会などを、団体を通じて、会員に紹介してほしいというご連絡をいただくことも少なくありません。 
大変申し訳ないのですが、そうしたご連絡は、各会員一人一人に直接お願いします。

お問い合わせ・ご依頼の際は 「イラストレーターズ通信を見ました」とお伝えください

会員イラストレーターにご連絡いただく際は「イラストレーターズ通信を見ました」とお伝えいただけると大変ありがたいです。
この「イラストレーターズ通信」が会員の役に立てているかどうかは、とても大事なことだからです。 
お伝えいただいても、仲介手数料が発生することはございません。

著作権譲渡について 

2011年頃から、著作権譲渡を求めてくる企業・団体・自治体が増えて参りました。
大変申し訳ないのですが、当団体の会員は、原則として、著作権譲渡には応じておりません。どうしても著作権を譲渡するとすれば、かなり高額なギャランティとなります。
イラストレーションの料金は制作にかかった労力の代金ではなく、使用料だからです。

たとえば、ミッキーマウスのキャラクターを使用するとしましょう。ディズニー社に支払うお金は、その絵を描いた労力の代金でしょうか? 
いいえ、違います。その絵(またはキャラクター)を使う代金(使用料)です。
そのことは、イラストレーションの作者がウォルト・ディズニーであっても日本のイラストレーターであっても変わらないのです。

私たちイラストレーターは、絵を描いた労力への対価をいただいているのではなく、イラストレーションの使用料をいただいて食べています。多くの媒体で無限に使用可能な権利を期限なしで販売するとなると、その分お高い使用料となってしまいます。

例えば、出版関連の仕事に関して考えてみましょう。
雑誌にカットを描き、たった数万円で出版社に著作権を譲渡したとします。
そうなると、もうそのイラストレーションはその出版社のものです。
その雑誌の記事が書籍化され、そのカバーに使われても、イラストレーターは文句を言えません。
書籍カバーのイラストレーションのギャランティは10万円前後が相場ですが、イラストレーターはその使用料をいただけないことになります。
さらに、それがドラマ化され、ドラマのオープニングで使われても、テレビCMでどんどん使われたとしてもです。
そして世界中で翻訳された書籍カバーにも使われ、映画ポスターに使われても……
イラストレーターがいただけるのは最初の数万円だけです。
ある日気がつくと、その出版社のイメージキャラクターになっている可能性もあります(まずありえない話ですが、それも可能な権利を買い取ることが著作権譲渡だということです)。

おそらく、ここまで様々な媒体で使うことはないと思います。
ならば、それほど広く使える権利を買い取らない契約でお願いできないでしょうか。
著作権譲渡ではなく、それが使用される範囲をあらかじめ定めて、その範囲内での使用許諾にするだけでも、多くのクライアントが望む使用範囲で契約が可能だろうと思います。例えば、「電子書籍、電子書籍の販売ページ、ネット上の電子書籍の宣伝・広告への流用代を含む」といった形で条件を明確に定める方法です。
こうすることで、著作権を譲渡せずとも、その書籍と同じ内容・同じタイトルであれば流用が発生するたびにイラストレーターの許諾を取る必要はなくなります。
ただし、様々な媒体で使われるのであれば、その流用代を若干プラスしてギャランティをお支払いただけると幸いです。

「使用範囲がわからない、今予定していないことにまた使う可能性もある。その度に使用許諾を取るのは手間がかかりすぎるし、非効率的だ」という声もよく耳にします。
新たな2次使用が決まってから一つ一つ使用許諾を取るのは、確かに大変です。
数十人のイラストレーターやカメラマンが関わっている雑誌を電子書籍化しようと、すべてのイラストレーターやカメラマンに許諾を取っていては、お金も時間もかかって効率が悪かろうと思います。

では、ミッキーマウスのイラストレーションを使う書籍を出すとして、「今後使用範囲が広がるかもしれないから、著作権を買い取っておこう」と考えるでしょうか。
企業にとっては、「経費を削減すること」や「効率を上げること」も重要だと思います。
しかし、コンプライアンスも忘れないで欲しいのです。
少し前に社会を揺るがせたキュレーションサイト問題も、クリエーターの著作権を軽く考えたまま、「経費を削減すること」や「効率を上げること」に囚われすぎた結果、コンプライアンスが置き去りにされたことが原因の一つだろうと思われます。

今、イラストレーターをはじめとする業界関係者の間では「著作権譲渡を仕事依頼の条件とする企業の増加に大きな懸念が持たれています」このまま放置すればキュレーションサイト問題でサイト閉鎖に追い込まれた企業の二の舞となる可能性があるのではないでしょうか?

「たった数万円のお金で著作権を買い取ることは、イラストレーターに大きな損害を与える行為だ」と認識していただけると嬉しいです。

次に、広告のイラストレーションについても考えてみましょう。
広告では、バッティングは原則NGです。つまり、イラストレーターがあるクライアントに著作権を譲渡したら、そのライバル企業では一生仕事ができない可能性があるのです。著作権を譲渡したのが化粧品メーカーだと思っていたのに、実はグループ企業が自動車を製造販売をしていたら、知らないうちに自動車のポスターに使われることも可能性としてはあります。

一旦著作権を手放すと、イラストレーターはその作品がどこでどう使われるかわかりません。
著作権は、さらなる譲渡も可能です。さらなる譲渡の意図をもって著作権を買い取るはずはありませんが、やがて担当者が変わり、経営者も変わった先の未来にどんな変化が起こるか、予想できる人はいないでしょう。会社は吸収・合併・買収されることもあります。海外の企業となる可能性もあります。作品の著作権を将来どこが管理し、どんな方針となるのか、誰にもわからないのです。 
実はこれは広告の仕事に限った問題ではありません。
出版社に著作権譲渡したイラストレーションが、そのグループ企業の広告に使われる可能性もあります。
様々な事情で他の企業の手に渡って、広告に使用されることもないとは言い切れません。

さらには、著作権譲渡を受けて集めた大量のイラストレーションを元に、その企業がレンタルイラストレーションを始めたとしたらどんなことになるでしょうか?
あるいは、どこかのレンタルイラストレーション業者が、著作権譲渡されたイラストレーションを各企業から安くで買い上げて、ネット上で無料素材として提供し始めたとしたら、、、(もう、どこかの企業がやっている可能性もありますが)
そうなると、そのイラストレーションは様々な企業の広告に使用されることになり、元の創作者であるイラストレーターは全く管理できなくなります。

いつか知らないところで、自分の意思で受けた広告の仕事とバッティングしてしまうケースも出てくるでしょう。
イラストレーターは多額の賠償金を支払わなければならないかもしれません。
イラストレーターは、どこのクライアントからの依頼を受けても、つねにバッティングのリスクを抱えてしまうわけで、もうイラストレーターの仕事はできなくなります。


拡散されたイラストレーションは、アダルト系のゲームに使われるかもしれないし、カルト宗教団体や悪徳商法の企業が使う可能性だってゼロではないのです。

キャラクター デザインの場合も、著作権譲渡を求めるクライアント様が多いようです。 
この場合は、著作権をクライアント様とイラストレーターの共有として、広く様々な媒体で使える契約はいかがでしょうか? 
さらには「使用料は年契約等で毎年お支払いいただき、他のポーズが必要になった場合はそのイラストレーターに作画を依頼する」といった条件をお願いできるとありがたいです。


著作権とは何のためにあるのでしょう?
著作権法第1条にその答えがあります。
「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。」
つまり著作者の権利を保護することで文化を発展させよう。と言うことです。
しかし、このまま著作権譲渡がひろがれば、イラストレーション文化は衰退するでしょう。
著作権譲渡が広がると、本来の著作権法の精神から外れてしまうと感じます

そしてこれは、企業にとっても大きなリスクとなるはずです。「著作権譲渡が頻繁に行われる社会」ということは、どのイラストレーターに依頼しても、思いがけず、ライバル企業と同じイラストレーターとなってしまう可能性があるからです。安心してイラストレーターに仕事を依頼できなくなのです。
イラストレーションを発注するご職業の皆様、よく考えてみてください。そんなことになってもいいのでしょうか。

いかなる仕事であっても、著作権を譲渡せずとも、お互いに納得できる契約方法はあると思います。
クライアント様とイラストレーターが対等の立場で条件を話し合い、歩み寄れば、どちらも犠牲にならない契約は可能だと考えます。

「広告のイラストレーションで幅広く展開するので使用媒体がどこまで広がるかわからない」という仕事では、クライアントも安易に著作権譲渡を希望される傾向がある印象があります。
そんなケースでも、例えば「その商品の広告(または、キャンペーンやイベント等)に限って、使用媒体を定めず使い放題、ただし使用期間を定める」とする契約は考えられないでしょうか。
こうすれば予定外の媒体にも使いたくなった場合に、使用許諾を改めて取る必要はないでしょう(ただし、この場合は幅広く使われるわけですから、その分のギャランティもプラスしてくださいますようお願いします)。

ミッキーマウスの著作権を買い取るとして、その金額がいくらになるか、少し想像してみてください。それは、今後ミッキーマウスがディズニー社にもたらすであろうお金に匹敵する金額となるでしょう。具体的なイメージがわかないほど、莫大な金額です。
私たちイラストレーターとはその商品価値が違いすぎて全く同じようには考えられないかもしれません。しかし「著作権譲渡は、イラストレーターのその後の人生にもたらすであろうお金を制限する」という意味ではよく似ています。

そう考えると、その制限する金額こそが、イラストレーションの著作権譲渡における妥当なギャランティとなります。
一般的な日本人イラストレーターのケースとして考えると、たとえ百万円でも安いでしょう。
1千万円ですら足りないかもしれません。
それがたった数万円という、著作権譲渡ではない仕事と同様の金額で行われているのが実情なのです。

想像してみてください。もしも、1ヶ月分の給料で、一生働かなくてはならないという会社があったとしたら……。
現実にそんな会社があれば、ブラック企業として社会問題となるでしょう。
ところが、イラストレーターに対しては、同様のことが「著作権譲渡」として公然と行われているのです。
経費削減や効率のために私たちイラストレーターを犠牲にしないよう、ご配慮をお願いします。
どうか、コンプライアンスを思い出してください。

イラストレーションの作風と作者名が切り離せない関係にある以上、私たちは著作権を譲渡するたびに仕事の場を失っていくことになります。このまま著作権譲渡が広がると、いずれイラストレーターは食べていけない職業となるのです。
私たちは、「職業としてのイラストレーター最後の世代となるかもしれない」と危機感を持っています。
この社会からプロのイラストレーターがいなくなれば、困るのは出版社をはじめとする企業の皆様ではないでしょうか。
確かにアマチュアのイラストレーターがたくさん出てきましたが、やはりちゃんとしたお仕事の相手としてプロのイラストレーターは必要なはずです。

 浮世絵が盛んだった江戸時代、日本は世界でも稀な大衆文化の国でした。
そのころヨーロッパで絵といえば一部の裕福層や教会のもの。
庶民がカラーの絵を購入することは、ほとんどなかったようです。
一方で、日本ではごく普通の庶民もカラーの浮世絵を購入して楽しんでいました。
それが今の日本の漫画やイラストレーションといった豊かな大衆文化につながっていきます。
私たちイラストレーターは、世界に誇るべき日本の大衆文化の灯を守り、未来につなげたいと願っています。

なお、公正取引委員会の「コンテンツ取引と下請法」パンフレット(http://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.files/contentspamph.pdf)には、「優越的地位の乱用として独占禁止法上問題となる行為」として、「情報成果物に係る権利等の一方的取り扱い」「著しく低い対価の設定」と書かれています。
つまり、「著作権譲渡がお仕事依頼の絶対条件」としてイラストレーターに強要する行為は、独占禁止法に抵触する可能性があると考えられます。



無料や激安のお仕事

無料や激安のお仕事もイラストレーションの文化を衰退させる可能性があるため、当団体会員はお受けしておりません。
公正取引委員会の「コンテンツ取引と下請法」パンフレット(http://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.files/contentspamph.pdf)には、親事業者の主な禁止行為の例として、「同種・類似のコンテンツの一般的な対価 に 比 べ、著しく低い金額を親事業者が一方的に定めること。(買い叩き)」と書かれています。 
また、このパンフレットには、「優越的地位の乱用として独占禁止法上問題となる行為」として、「 著しく低い対価の設定」と書かれています。 

流用・2次使用

イラストレーションの流用・2次使用には、事前にご依頼のイラストレーターから使用許諾を得る必要がございます。 


諸条件提示のお願い

イラストレーション発注時は、作業が始まる前に、諸条件を明確にした書面を交付願います。
公正取引委員会の「コンテンツ取引と下請法」パンフレットには、親事業者の義務として「コンテンツの作成委託をするときは、必ず発注書面を交付する必要があります」と書かれています。 
会員からは、「お仕事確認書」への記入をお願いすることがございます。
お仕事確認書:https://db.tt/DyGFoJvj


参考資料

公正取引委員会の「コンテンツ取引と下請法」パンフレット
http://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.files/contentspamph.pdf
公正取引委員会による「優越的地位の濫用」パンフレットhttp://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.files/yuuetsu.pdf 

公正取引委員会による「消費税の転嫁拒否に関する主な違反事例」パンフレット
http://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.html#cmsshitauke 

悪質な場合、中小企業庁や公正取引委員会、あるいは団体顧問弁護士に相談させていただきます。 



プロフェッショナル・イラストレーター集団「イラストレーターズ通信」主宰・理事 森流一郎