2018年3月11日日曜日

イラストレーターを志すあなたへ「イラストレーターになるための3つの条件」

イラストレーターとして歩き始めようとしているあなたへ、あるいはすでに歩き始めたけれどその入り口付近でさまよっているあなたへ、少しだけ先にその道を歩き始めた私から伝えたいアドバイスがあります。

イラストレーターとは、世の人々に「イラストレーション」という名の小さな幸せを届ける職業です。
きっと、ときめきと高揚感に満ちた毎日が待っているでしょう。

しかし歩き始めた全ての人がそのときめきと高揚感に満ちた毎日を味わえるわけではありません。
イラストレーターになれるのは、歩き始めた内のごく一部であることも事実です。
イラストレーターになれたとしても食べていくのは大変だし、安定もしていません。
徹夜も当たり前だし、生活は不規則になりがちです。
楽してお金儲けをしたいだけの人は、他の仕事についたほうがはるかに効率的でしょう。

しかしあなたが、次の3つの条件に当てはまるのならイラストレーターに向いていると思います。
  1. 絵を描くことが大好き。
  2. 人を楽しませることが好き。
  3. 好きなことに熱中する体質。

3つともに当てはまるのであれば、たとえ今は未熟でも、おそらくイラストレーターの才能があると思います。
是非、歩き出してください。

ただし、歩き続けるには仲間も必要です。
イラストレーターは上司も同僚もいません。
わからないことを教えてもらったり、励ましあったり、様々な情報を交換する仲間がいれば、より遠くまで歩き続けられると思います。

例えば「トキワ荘」が、優れた漫画家を育みました。
19世紀後半のパリが、印象派の画家たちを生みました。
そんな風に共に歩いていける仲間が、イラストレーターにも必要なのだと思います。

そんな「トキワ荘」や「19世紀後半のパリ」への憧れから、プロフェッショナル・イラストレーター集団「イラストレーターズ通信」を作りました。
「イラストレーターズ通信」は、イラストレーターによるコミュニケーションの場です。
会員専用の掲示板があり、イラストレーターが豊かで幸せになるための交流が行われています。

例えばこんな質問や相談があります。
「売り込みのやり方はどうするの」
「ギャランティの交渉はどうやるの?」
「雑誌のカットのギャランティはいくらが相場なの?」
「こんな仕事の見積りを依頼されたけど、どうしたらいいの?」
「著作権譲渡を希望されているんだけど、どうしよう?」
「著作権のこんなことがわからないんだけど?」
「支払いが遅れているんだけど、どう対応したらいいの?」
「子育てと仕事の両立って大変じゃない?」
「イラストレーターが保育園に預けるにはどうしたらいいの?」
「パソコンの使い方でわからないことがあるんだけど?」
「データ納品って、どうやったらいいの」
などなどーー

駆け出しからベテランまでが、教え合い、学び合い、共に歩き続けていこうとしています。。
これまでに蓄積された7年間の交流の記録は、いつでも検索が可能です。
この膨大な情報は、他にはない貴重なものだと自負しています。

ネット上には、他にもイラストレーター同士が交流する場はあるようです。
しかし、匿名であることも多く、その情報の信頼性が保障されていません。
また、ネットの世界は悪意や憎悪などのネガティブなエネルギーに満ちていて、思わぬ攻撃や悪口に出会うことも多く、安心して質問できる環境は少ないと思います。
この団体では、すべて仕事上の名前で交流するため、身元が保障されており、その信頼性は極めて高くなっています。(ペンネームの場合も、事務局で本名と住所を把握しております)
ネガティブな反応に出会うこともほぼありません。
安心して相談・交流ができるでしょう。

私が目指したのは、イラストレーター同士が安心して学び合い、教えあい、刺激し合い、切磋琢磨し、そして豊かで幸せになるためのコミュニケーションの場です。
すでに会員数は800人以上。「イラストレーターズ通信」は、日本最大のイラストレーター団体となっています。
http://illustrators.jp



文:「イラストレーターズ通信」主宰 森 流一郎

※この文の著作権は森流一郎にあります。著作権法上の例外を省き、無断使用を禁じます。

イラストレーション:森流一郎

2018年3月9日金曜日

いいイラストレーションとは?

技術的に上手いけれど、つまらないイラストレーションがあります。
逆に、技術的には下手だけど、とてもいいイラストレーションも確かにあります。
それはどこから来るのでしょう?
いいイラストレーションとはなんなのでしょう?

あくまで私の個人的見解ですがーー
「いいイラストレーションとは、世界観のあるイラストレーションである」と考えています。

世界観とは、そのイラストレーターだけが持つ価値観・感情・センスに根ざした、世界の見え方、感じ方です。
それまでの体験や感動や生き様が長い時間をかけて発酵し、生まれるものです。

仮に薔薇の絵を描くとしましょう。
本物のイラストレーターなら、ただ単純に薔薇の形や色を紙の上に写し取るようなことはしません。
そのイラストレーターの世界観というフィルターを通した、唯一無二の薔薇を描くはずです。
だからこそ、100人のイラストレーターが薔薇を描けば、100種類のまるで違う薔薇のイラストレーションが生まれるのです。
同じような絵があったとしたら、それはまだ世界観が未熟で、魅力的でないイラストレーションなのだと思います。


この広い世界に二つとない薔薇を描ける人は、きっと本物のイラストレーターだと思います。今はまだそうではないとしても、そうなる資質があるのだと思います。

あなたは、自分だけの薔薇のイラストレーションを描くことができますか?





文:「イラストレーターズ通信」主宰 森 流一郎

※この文の著作権は森流一郎にあります。著作権法上の例外を省き、無断使用を禁じます。

2018年3月6日火曜日

団体の目標「イラストレーションという名の小さな幸せを届ける」

■ イラストレーターズ通信の目標は、次の四つです。

  1. 世の人々に向けて、イラストレーションという名の小さな幸せを届ける。
  2. イラストレーションという名の小さな幸せをプラスすることで、商品やサービスがよりたくさん売れることに寄与する。そうしてクライアント様が豊かになることのお手伝いをする。
  3. イラストレーター自身も、十分な報酬を受け取り、豊かで幸せに生活する。
  4. そして、イラストレーションが溢れる、豊かで幸せな社会を目指す。

1)世の人々に向けて、イラストレーションという名の小さな幸せを届ける。

イラストレーションを見たときあなたは何を感じますか?
「かわいい」「かっこいい」という気持ちだったり、
「綺麗」「素敵」という感動だったり。
心揺さぶられる思いだったり。
それは、小さな幸せだは思いませんか? 
例えば書籍は、その中身こそが商品です。 カバーイラストレーションはほんの少しの付け足しにすぎません。 
けれど想像してみてください。
書店に並んだ書籍のどれひとつとして、カバーにイラストレーションが使われていなかったとしたらーー
なんだか味気ないとは思いませんか?
カバーにイラストレーションが使われていることで、本を手に取る人を幸せなきもちにしているのではないでしょうか?(それは、ほんの少しのことではありますが)

2)イラストレーションという名の小さな幸せをプラスすることで、商品やサービスがよりたくさん売れることに寄与する。そうしてクライアント様が豊かになることのお手伝いをする。

会員イラストレーターは、ご依頼いただいたクライアントにご満足いただくための努力を惜しみません。
イラストレーションという名の小さな幸せをプラスすることで、よりたくさん商品(あるいはサービス)が売れることを願っています。 
商品(あるいはサービス)が売れることで、クライアント様がより豊かになる。 
それが、イラストレーターの使命だと思っています。


3)イラストレーター自身も、十分な報酬を受け取り、豊かで幸せに生活する。

私たちイラストレーターも、その仕事にふさわしい報酬を受け取り、地位や権利が守られ、人間らしさにあふれた働く環境の中で、豊かで幸せな生活をしたいと願っています。
そのために私たちは、十分な報酬を受け取り、自らの地位や権利を守り、働く環境の改善のための活動も行なっています。 
会員同士様々な知識を教えあい、学び合い、イラストレーターとしての質的向上も目指しています。 


4)そして、イラストレーションが溢れる、豊かで幸せな社会を目指す。

イラストレーション一つひとつは、ほんの小さな幸せに過ぎません。
だけどそれが何千何億と集まれば、大きな幸せとなって世の中に溢れることでしょう。
「イラストレーションによって社会全体が幸せに満ち、人々が豊かに暮らす」そんなイメージを持って、イラストレーターズ通信は日々活動を続けています。


文:「イラストレーターズ通信」主宰 森 流一郎

2018年3月2日金曜日

主宰の森流一郎は、イラストレーションの仕事から退きます

こんにちは。主宰の森流一郎です。
すでに様々なところで書いたり、話したりしているのですが、このブログでも改めて書いておきたいと思います。
私、森流一郎はイラストレーションの仕事から退くこととしました。
今後は、「イラストレーターズ通信」の活動に専念します。

24年にわたってフリーランスでイラストレーターを続けてきましたが、もう15年ほど前から限界に来ていました。

当時、月に約70点のレギュラーを抱えていました。
ほぼ毎日休みなく、複数の締め切りがあります。
しかもそれだけではなく、当時は「イラストレーターズ通信」の活動も、ほぼ一人でやっていました。
年鑑も一人でやっていました。編集からデザインまで自分でやるのは相当にハードでした。
「Webイラストレーターズ通信」も私が一人で作っていました。まだ参加イラストレーターが自分で作品をアップするシステムがなく、各イラストレーターの作品をひとつひとつアップしていました。
掲示板ではみんなの相談や質問に答えていました。
恐ろしいほどの作業量でした。
徹夜が続いても、疲れているとは感じませんでした。
むしろ、高揚感でいっぱいでした。
しかし、気がつかないうちに、私の脳に疲労が蓄積していたのです。

間もなく私は、自律神経失調症になりました。
頻尿、パニック障害、頭痛、下痢、不眠などの症状がでてきたのです。
特に頻尿がひどい時期は、机に向かって作業していても、5分おきぐらいにトイレに駆け込んでいました。
全然仕事になりません。
しかし、おしっこを我慢するとパニックの症状が出て、倒れそうになるのです。
医者によれば、「働き過ぎで脳が疲れている。脳がパンクしている」のだそうです。
激しい運動をすれば筋肉痛になって体の動きが悪くなるように、脳を使いすぎて十分に休ませないと脳の働きが悪くなるのだそうです。
「このままでは心も体も壊れてしまいますよ。これまで真面目に働きすぎました。仕事は控えて、頑張ることはやめましょう。今は十分な休息が必要です。規則正しい生活にして、たっぷりと睡眠をとりましょう」と、医者からは指導されていました。
しかし、その言葉に応えることができないまま15年以上が過ぎて行きました。
限界を超えたところで、ギリギリの状態が長く長く続きました。
症状は一向に改善せず、1年と少し前、ついに鬱と診断されました。

私は新規の仕事は断ることにしました。
以前から続いてきた連載やシリーズものは受けていますが、かなりスローな生活に変化し始めました。
すると、体の不調が驚くほど改善し始めたのです。
15年にわたって苦しんできたのが嘘のようでした。

今、スローに生きることの大切さをしみじみと実感しています。

たとえ、私が小説の挿絵を描かずとも、誰かが代わりに描くでしょう。
しかし、「イラストレーターズ通信」の活動は、日本中を探しても、おそらく私にしかできません。
ならば、この活動にこそ力を注いでいきたいと決断しました。
途中で止まっている「それいけ!!イラストくん」「イラスト用語偽事典」の続きも書きたいし、
「イラストレーターの基礎知識」「イラストレーターの実践講座」「イラストレーターの色彩入門」「イラストレーターの著作権講座」など様々な知識・情報をイラ通会員向けに公開していきたいと思っています。
「セミナー」「スケッチ会」「会員展覧会レポート」「団体展」「イラ通コンペ」などなど、やりたいことは山ほどあるのに時間が足りません。
著作権のこと、契約のこと、裁判のこと、会計のこと、トラブルにあった場合の対応、その他イラストレーターに関わるあらゆることを勉強・研究したいとも考えています。

イラストレーターという愛着のある職業を捨てるのはかなり勇気がいりましたが、やりたいこと全てを続けるのは身体が持ちませんし、どれも中途半端になるだけです。
15年もの間捨てられなかったイラストレーターという職業ですが、今こそ卒業し、新たな人生を歩き始めようと思います。
見守っていただければ幸いです。


このブログもほぼ放置状態でしたが、今後は度々更新することになるはずです。
イラストレーターに関する様々な情報・知識を発信していきます。
どうぞ、ご期待ください。

2017年3月31日金曜日

著作権譲渡にNO!

いつも「イラストレーターズ通信」をご利用いただきありがとうございます。
私たちは、世の人々にイラストレーションという名の小さな幸せを届けることを目指しています。
そして商品やサービスにイラストレーションという付加価値をプラスすることで、クライアント様もより豊かになることを目標にしています。
その結果として、私たちイラストレーターも豊かで幸せに暮らしていきたいと願っています。
そのために、当団体では「著作権譲渡にNO!」とのスローガンを掲げて、イラストレーターの著作権を守る活動を行っております。
なぜ、「著作権譲渡にNO!」なのか、作り手側の考えを説明させてください。



2011年頃から、著作権譲渡を求めてくる企業・団体・自治体が増えて参りました。
大変申し訳ないのですが、当団体の会員は、原則として、著作権譲渡には応じておりません。
どうしても著作権を譲渡するとすれば、かなり高額なギャランティになります。
イラストレーションの料金は制作にかかった労力の代金ではなく、使用料だからです。

たとえば、ミッキーマウスのキャラクターを使用するとしましょう。
ディズニー社に支払うお金は、その絵を描いた労力の代金でしょうか? 
いいえ、違います。その絵(またはキャラクター)を使う代金(使用料)です。
そのことは、イラストレーションの作者がウォルト・ディズニー(あるいは、ディズニー社のスタッフ等)であっても日本のイラストレーターであっても変わらないのです。

私たちイラストレーターは、絵を描いた労力への対価をいただいているのではなく、イラストレーションの使用料をいただいて食べています。
多くの媒体で無限に使用可能な権利を期限なしで販売するとなると、その分お高い使用料となってしまいます。

例えば、雑誌にカットを描き、たった数万円で出版社に著作権を譲渡したとしましょう。
そうなると、もうそのイラストレーションはその出版社のものです。
その雑誌の記事が書籍化され、そのカバーに使われても、イラストレーターは文句を言えません。
書籍カバーのイラストレーションのギャランティは10万円前後が相場ですが、イラストレーターはその使用料をいただけないことになります。
さらに、それがドラマ化され、ドラマのオープニングで使われても、テレビCMでどんどん使われたとしてもです。
そして世界中で翻訳された書籍カバーにも使われ、映画ポスターに使われても……イラストレーターがいただけるのは最初の数万円だけです。
ある日気がつくと、その出版社のイメージキャラクターになっている可能性もあります(まずありえない話ですが、それも可能な権利を買い取ることが著作権譲渡だということです)。
おそらく、ここまで様々な媒体で使うことはないと思います。
ならば、それほど広く使える権利を買い取らない契約でお願いできないでしょうか。

著作権譲渡ではなく、それが使用される範囲をあらかじめ定めて、その範囲内での使用許諾契約にしていただきたいのです。
例えば、「電子書籍、電子書籍の販売ページ、ネット上の電子書籍の宣伝・広告への流用代を含む」といった形で条件を明確に定める方法です。
ただし、様々な媒体で使われるのであれば、その流用代をプラスしたギャランティをお支払い願います。

「使用範囲がわからない、今予定していないことにまた使う可能性もある。その度に使用許諾を取るのは手間がかかりすぎるし、非効率的だ」という声もよく聞きます。
新たな二次使用が決まってから一つ一つ使用許諾を取るのは、確かに大変だと思います。
では、ミッキーマウスのイラストレーションを使う書籍を出すとして、「今後使用範囲が広がるかもしれないから、著作権を買い取っておこう」と考えるでしょうか。
企業にとっては、効率を上げること、経費を削減することは大事だと思います。
しかし、コンプライアンスも忘れないで欲しいのです。
「たった数万円のお金で著作権を買い取ることは、イラストレーターに大きな損害を与える行為だ」と認識していただけると嬉しいです。

広告のイラストレーションについても考えてみましょう。
広告では、バッティングは原則NGです。
つまり、イラストレーターがあるクライアントに著作権を譲渡したら、そのライバル企業では一生仕事ができない可能性があるのです。
著作権を譲渡したのが化粧品メーカーだと思っていたのに、実はグループ企業が自動車を製造販売をしていたら、知らないうちに自動車のポスターに使われることも可能性としてはあります。
一旦著作権を手放すと、イラストレーターはその作品がどこでどう使われるかわかりません。

著作権は、さらなる譲渡も可能です。
さらなる譲渡の意図をもって著作権を買い取るはずはありませんが、やがて担当者が変わり、経営者も変わった先の未来にどんな変化が起こるか、予想できる人はいないでしょう。
会社は吸収・合併・買収されることもあります。
作品の著作権を将来どこが管理することになるのかもわかりません。

さらにーー
著作権譲渡を受けて集めた大量のイラストレーションを元に、その企業がレンタルイラストレーションを始めたとしたら、、、はたしてどんなことになるでしょうか?
あるいは、どこかのレンタルイラストレーション業者が、著作権譲渡されたイラストレーションを各企業から安くで買い上げて、ネット上で無料素材として提供し始めたとしたら、、、(もう、どこかの企業がやっている可能性もありますが)
そうなると、そのイラストレーションは様々な企業の広告に使用されることになり、元の創作者であるイラストレーターは全く管理できなくなります。


著作権譲渡の仕事をたくさんしていると、いつか知らないところで、自分の意思で受けた広告の仕事とバッティングしてしまうケースが出てくる可能性が出てくるわけです。
そうなると、イラストレーターは多額の賠償金を支払わなければならないかもしれません。

拡散されたイラストレーションは、アダルト系のゲームに使われるかもしれないし、カルト宗教団体や悪徳商法の企業が使う可能性だってゼロではありません。

一度でも著作権を売り渡したイラストレーターは、その後様々なリスクを抱えて活動していかねばならなくなるのです。

いやそれは、企業にとっても大きなリスクとなるはずです。
「著作権譲渡が頻繁に行われる社会」ということは、どのイラストレーターに依頼しても、思いがけず、ライバル企業と同じイラストレーターとなってしまう可能性があるからです。
安心してイラストレーターに仕事を依頼できなくなのです。

イラストレーションを発注するご職業の皆様、そんなことになってもいいのでしょうか。
「広告のイラストレーションで幅広く展開するので使用媒体がどこまで広がるかわからない」という仕事では、著作権譲渡を希望される傾向があるようです。
そんなケースでも、例えば「その商品の広告(または、キャンペーンやイベント等)に限って、使用媒体を定めず使い放題、ただし使用期間を定める」とする契約は考えられないでしょうか。
こうすれば予定外の媒体にも使いたくなった場合に、使用許諾を改めて取る必要はないでしょう(ただし、この場合は幅広く使われるわけですから、その分のギャランティもプラスしてくださいますようお願いします)。

ミッキーマウスの著作権を買い取るとして、その金額がいくらになるか、少し想像してみてください。
それは、今後ミッキーマウスがディズニー社にもたらすであろうお金に匹敵する金額となるでしょう。具体的なイメージがわかないほど、莫大な金額です。

私たちイラストレーターとはその商品価値が違いすぎて全く同じようには考えられないかもしれません。しかし「著作権譲渡は、イラストレーターのその後の人生にもたらすであろうお金を制限する」という意味ではよく似ています。
そう考えると、その制限する金額こそが、イラストレーションの著作権譲渡における妥当なギャランティとなります。
一般的な日本人イラストレーターのケースとして考えると、たとえ百万円でも安いでしょう。1千万円ですら足りないかもしれません。

それが1点数万円という、著作権譲渡ではない仕事と大きく変わらない金額で行われているのが実情なのです。(場合によってはそれよりも低い金額のケースもあるようです)

想像してみてください。
もしも、1ヶ月分の給料で、一生働かなくてはならないという会社があったとしたら……。現実にそんな会社があれば、ブラック企業として社会問題となるでしょう。
ところが、イラストレーターに対しては、同様のことが「著作権譲渡」として公然と行われているのです。

どうか、経費削減や効率のために私たちイラストレーターを犠牲にしないよう、ご配慮をお願いします。
いかなる仕事であっても、著作権を譲渡せずとも、お互いに納得できる契約方法はあると思います。
クライアント様とイラストレーターが対等の立場で条件を話し合い、歩み寄れば、どちらも犠牲にならない契約は可能だと考えます。

イラストレーションの作風と作者名が切り離せない関係にある以上、私たちは著作権を譲渡するたびに仕事の場を失っていくことになります。
このまま著作権譲渡が広がると、いずれイラストレーターは食べていけない職業となるでしょう。
私たちは、「職業としてのイラストレーター最後の世代となるかもしれない」と危機感を持っています。

この社会からイラストレーターがいなくなれば、困るのは出版社をはじめとする企業の皆様ではないでしょうか。
確かにアマチュアのイラストレーターがたくさん出てきましたが、やはりちゃんとしたお仕事の相手としてプロのイラストレーターは必要なはずです。

著作権とは何のためにあるのでしょう?
著作権法第1条にその答えがあります。
「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。」
つまり著作者の権利を保護することで文化を発展させよう。と言うことです。
しかし、このまま著作権譲渡が広がれば、確実にイラストレーション文化は衰退するでしょう。

浮世絵が盛んだった江戸時代、日本は世界でも稀な大衆文化の国でした。
そのころヨーロッパで絵といえば一部の裕福層や教会のもの。
庶民がカラーの絵を購入することは、ほとんどなかったようです。
一方で、日本ではごく普通の庶民もカラーの浮世絵を購入して楽しんでいました。
それが今の日本の漫画やイラストレーションといった豊かな大衆文化につながっていきます。
私たちイラストレーターは、世界に誇るべき日本の大衆文化の灯を守り、未来につなげたいと願っています。

以上が、「著作権譲渡にNO!」のスローガンを掲げる理由です。
ご理解いただければ幸いです。

 なお、公正取引委員会の「コンテンツ取引と下請法」パンフレット(https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/contentspamph.pdf)には、親事業者の主な禁止行為の例として、「下請事業者と著作権の対価にかかる十分な協議を行わず、通常の対価を大幅に下回る代金の額を一方的に定める。(買い叩き)」と書かれています。
 また、このパンフレットには、「優越的地位の乱用として独占禁止法上問題となる行為」として、「情報成果物に係る権利等の一方的取り扱い」「著しく低い対価の設定」とも書かれています。
また、経産省から公表された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210326005/20210326005-1.pdfでも、著作権譲渡の強要は下請法や独占禁止法に抵触する可能性があることが指摘されています。

繰り返します!!
著作権譲渡の対価として十分な額を支払わないことや、一方的に著作権譲渡を強要することは下請法や独占禁止法に抵触すると考えられるのです!(判例はないようですが。)
世間的に知られた企業や団体あるいは規範を示すべき自治体が、違法行為とも考えられることを公然と行っていることに、深い悲しみを感じています。
何年か前に「WELQ問題」が大きな話題となりました。それをきっかけに信頼を失った企業もいくつかあったと思います。
このまま著作権譲渡が増え続けると、これも、いずれ大きな社会問題となる可能性があるでしょう。 
企業、団体、自治体の皆様には、コンプライアンスについて、今一度深く考えていただけると幸いです。




イラストレーターズ通信主宰:森流一郎


※この文の著作権は、森流一郎にあります。著作権法上の例外を除き、無断使用を禁じます。

2017年3月27日月曜日

『年鑑イラストレーターズ通信2017(vol.16)』が完成しました。



『年鑑イラストレーターズ通信2017(vol.16)』が完成しました。
イラストレーター団体「イラストレーターズ通信」(http://illustrators.jp)の会員イラストレーター236人の作品と連絡先を掲載しています。

毎年頒布しているイラストレーションを発注する個人や企業約5000件に発送済みです。
届いていない場合は、お問い合わせください。
万一ご不要の際は、ご連絡いただけると幸いです。発送リストから削除させていただきます。
ご住所、ご担当者等変更の際もご連絡いただけると大変ありがたいです。

「イラストレーターズ通信」会員にも発送済みです。
ただし、海外在住の会員にはまだ発送できておりません。
もうしばらくお待ちください。

今回のカバーイラストレーションは、k,タエコさん。
観るものの心に深い印象を与える世界観が素晴らしいです。
これをきっかけに活躍の場がさらに広がることを願ってカバーを依頼しました。

アマゾンでも近日中に発売が始まる予定です。
http://amzn.asia/0gckFlW

なお、 イラストレーションを発注するご職業の皆様には、無料で送付しております。
無料送付をご希望の場合は、郵便番号、ご住所、会社名(または団体名、法人名)、部署名、お名前、そして希望の号数と部数を明記の上、事務局まで電子メールでご依頼ください。

連絡先:jimukyoku@illustrators.jp

2017年2月7日火曜日

年鑑『イラストレーターズ通信15』を通信販売します

「アマゾンにて年鑑『イラストレーターズ通信15』発売する」と予告しておきながら、長い月日が過ぎています。
お待ちの皆様には大変ご迷惑をおかけしており、申し訳ございません。
担当者が多忙で、なかなかアマゾンでの販売に手が回らないようです。

これ以上遅らすわけにもいかず、事務局にて直接販売を開始することとしました。
  • 金額:1部500円(消費税別)
  • 送料:無料(日本国内に限ります)
  • お支払い方法:商品到着後、三菱東京UFJ銀行の口座にお振込み願います。



年鑑『イラストレーターズ通信15』をご希望の方は、
  • 郵便番号
  • ご住所
  • お名前
  • 必要な部数

を明記の上、イラストレーターズ通信事務局まで電子メールでお申し込みご連絡ください。

1週間経っても商品が届かない場合は、お問い合わせ願います。

イラストレーターズ通信事務局電子メールアドレス:jimukyoku@illustrators.jp




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
イラストレーターズ通信 事務局

事務局共有メール jimukyoku@illustrators.jp
ホームページ http://illustrators.jp

188-0004 東京都西東京市西原町5丁目35号 森イラストレーション事務所内
電話・ファックス 042-452-6455森イラストレーション事務所