2012年4月19日木曜日

会員展覧会レポート【きたざわけんじ個展「さくら色のかぜ」】




ギャラリーに向かったその日、青山の街は、ちょうど桜が見頃を迎えていた。
ひらひらと花びらがいくつも私の周りを舞う。

きたざわけんじさんは、毎年、この季節、同じ青山のギャラリーで個展を重ねて、今年で4回目になる。

初めて個展にお邪魔したのは、数年前だ。
まじめな好青年という、ごく普通の外見である。
お話を伺っても、その印象は変わらない。

しかし、、、実はーー
彼は、風の魔法使いではないか、と勝手に思っている。
彼の作品にはいつも風が吹いているからだ。
具体的に風が描き込まれている訳ではない。
それなのになぜか、どの作品にも風を感じる。
不思議なのだ。

今回もHBギャラリーの中に入ったとたん、
会場いっぱいに飾られた作品に包まれた私の体を、風が吹き抜けた。
大げさではなく、確かにそんな気持ちになったのだ。

決して強く吹き付ける北風ではない。
心地よく、ほほをなでるさわやかな風だ。
そう、まさに「さくら色のかぜ」なのだ。
うまくつけられた展覧会タイトルに納得する。

もちろん室内に風が吹く訳はない。
理屈ではそう分かっているのだが、、、
今確かに吹き抜けたあの風は何だったのだろう、、、
何かの魔法にかけられたかのような気持ちになる。

具体的に風を描かないのに、風が吹く。
その不思議な才能は、これからさらに、広くたくさんの人々の心にも広がってゆく予感がする。
日本にとどまらず、世界中に、彼の心地よい風が吹き抜けることになるのではないか、、、
と、わくわくしながら想像している。

彼は、第1回イラストレーターズ通信コンペで入選。第3回では銀賞を受賞した。
最近でてきたイラストレーターの中でもその活躍ぶりは抜きでている。
出版、エディトリアルはもちろん、広告、プロダクトと、その広がりはとどまるところを知らない。

今後がさらに楽しみだ。
心地よい風の余韻に浸りながら、会場を後にした。

(森流一郎)





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きたざわけんじ「イラストレーターズ通信」ページ

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きたざわけんじ個展「さくら色のかぜ」
会期:04/13(金)ー 04/18(水)
場所:HBギャラリー