2012年9月11日火曜日

会員展覧会レポート【林けいか個展「きらきら」】




林けいかさんが、これまでの「かわいい」画風とは一変したタッチで個展を開催中だ。
あさって12日までとなったが、会員展覧会レポートをお送りする


ギャラリーの扉を開けた私を、何かの光が包み込んだ。
まぶしい思いで室内を見回す。
そこには、これまでよく知る彼女のタッチとはまるで違う作品が並んでいた。

「きらきら」が展覧会のタイトル。
作品ひとつひとつに光が描かれている。
これが会場に満ちているからだろうか?
林さんにお話を伺いながらも、まぶしい思いは消えなかった。

これまでの作品は「かわいい」キャラクター的タッチの作風で描いてきた。
Photoshopで線画に色を付けたものが多い。

それが今回の個展で飾られていたのはーー
絵の具を塗込めた、もっと大人な作品だった。

「かわいい」タッチでは、雑誌のカット等でお仕事をしてきた。
今後は、展示した作風でもどんどん描いていきたい、装丁や小説挿絵などに活動の場を広げたい、と話す林さん。
そして、作品販売も積極的に行っていきたいのだという。
だから「お部屋に飾って心地よい作品」ということも考えて描いたそうだ。
既に二つの作品に売約済みのシールが貼られていた。

さらに目標はつきないようだ。
この画風にあった人物の描き方がまだ見つからない。
今後の目標は人物だと、笑顔で抱負を語る林さん。
その瞳がまぶしい。

そうなのかーー
ようやく気がつく。
私を包んだ輝きは、イラストレーションに光が描かれていたからだけではなかったのだ。
林さん自身が「きらきら」と光っていたのだ。
未来に向かってまっすぐに進もうとする、林さんの魂の輝きーー
それが作品ひとつひとつにも宿って、空間を満たしていたからこそ、この個展会場でまぶしさを感じたのだ。

まだ発展途上なのかもしれない。
しかし、そのまっすぐな気持ちがあれば、大丈夫だろう。
これから、さらによくなっていくはずだ。

楽しみな才能がまたひとつ増えた。



(イラストレーターズ通信 主宰/森流一郎)
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林けいか「イラストレーターズ通信」会員ページ
http://www.illustrators.jp/profile.php?id=0577

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林けいか個展『きらきら』
会期:2012年9月7日(金)から12日(水)
時間:11:00から19:00(最終日は17:00まで)
場所:OPA gallery(東京都渋谷区神宮前4-1-23-1F)
ギャラリーホームページ:http://www.geocities.jp/opa_gs/

2012年9月5日水曜日

ちょっとしたコンペにおけるコツ

第4回「イラストレーターズ通信」コンペの作品募集中です。
いよいよ締め切りまで、1ヶ月を切りました。
2012年9月30日(日)必着でお願いします。
コンペの詳細はこちら
http://www.illustrators.jp/competition.htm

前回ではーー
「あの人すごかったけれど、作品が1点しかなかったので高い点数を入れなかった。もう少し作品がみたかった」と、審査員のあいだで話題になった応募者が何人かいらっしゃいました。
1点のみだと、たまたま偶然にいい作品が描けたのか、作者の技量が安定しているのか、分かりにくいというのです。
審査員によって選考基準は違いますので一概にはいえません。
しかし、応募作品が3点以上の方が、このコンペでは有利かもしれません。
1点のみの応募で入賞・入選はいないわけではないですが、かなり飛び抜けた才能の方々です。
大賞受賞者だけをみると、1点での応募というケースは、これまでのところ一人もいません。

以上、ちょっとしたコンペにおけるコツでした。
参考にしていただけると幸いです。

皆様のご応募をお待ちしております。


2012年9月1日土曜日

会員展覧会レポート【苗村さとみ企画展「バカンス Les vacances de la femme(女の休暇)」】




最近、話題の書籍がある。
松本清張賞をとった『烏に単は似合わない』(文藝春秋)だ。
http://www.amazon.co.jp/dp/4163816100

書店では平積みされ、広告もよく見かける。
カバーイラストレーションを手がけているのは、イラストレーターズ通信会員の苗村さとみさん。
その苗村さんのグループ展が、ギャラリーダズルで開催中だ。
先日、その会場に行ってきた。

地下鉄外苑前の駅から外にでたとたん、思いがけないほどの暑さが、身体を包み込むように襲ってきた。
確か、その日の天気予報は、東京の最高気温は35度と告げていた。
アスファルトに覆われたこの街の実際の温度は、それ以上になっているはずだ。
会場に向かう足が、一歩、一歩、重くなる
到着する頃には、頭がもうろうとなりかけていた。

ようやく、会場に入ったところ、涼やかな空気に、頭もすっきりとしてきた。
冷房のおかげもあるだろう。
しかし、それだけではない。
苗村さんの作品が、涼しいバカンスの風を送ってきてくれたのだ。

展覧会のテーマは「バカンス」。
だから、どの作品も夏らしい。
しかし、暑苦しさはない。
つくづく思うーー
イラストレーションとは不思議なものだ。
夏らしいのに、涼しさを生む。

会場正面に並んだ、作品の前にしばし立ち止まる。
女性と花が描かれたものが5点。
美しきモチーフの競演に見とれる。
そして不思議な涼しさに心をゆだねる。
そう、確かにこれはバカンスの気持ち良さだ。

彼女はこれまでも一貫して、大正ロマンの香りあふれる作風で、花と女性をテーマに創作活動をしてきた。
独特の世界観に、使用される仕事の範囲が狭まるという面もあろう。
しかし頑固に守り続けてきたことで、技術・センスに磨きがかかり、近年の作品は驚くほど上質になった。

浴衣姿で迎えてくれた苗村さんに好きなイラストレーターを聞くと、
高畠華宵、高橋真琴、藤田ミラノの名前が挙がって、なるほどと納得する。
どこか高貴な気品は、彼らから受け継いだものだったのだろう。

どうか更なる高みを目指してほしい。
大好きだという偉大な先達に並ぶほどに、自分の世界を完成させてほしい。
期待が大きく膨らんだ。

ギャラリーをでると、またあの暑さが戻ってくる。
つかの間のバカンスが終わったような寂しさを感じた。

展覧会は9月2日まで。
未見の方は、お急ぎ下さい。

(イラストレーターズ通信主宰/森流一郎)




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苗村さとみ「イラストレーターズ通信」会員ページ
http://www.illustrators.jp/profile.php?id=0040


バカンス Les vacances de la femme(女の休暇)
会期:2012年8月28日(火)~9月2日(日)
   12:00~19:00(月休・最終日は17:00まで)
場所:Gallery Dazzle
   東京都港区北青山2-12-20 #101
ギャラリー Webサイト:http://gallery-dazzle.com/

出品者:大窪洋子 草野文香 友田萌衣 苗村さとみ 中村奈々子 村瀬エレナ (DM掲載順・敬称略)

2012年8月13日月曜日

イラストレーターの仕事について考える


お盆です。
そんなこととは関係なく、また熱を出して寝込んでいます。
夏風邪をひいた記憶は、少なくともここ20年ぐらいありません。
体力がなくなってきたことを痛感しています。
布団にもぐり込み、熱でぼんやりした頭で、イラストレーターの仕事について考えていました。

いつだったかーー
世界的な現代美術の作家が小学校に来て作品制作をするドキュメントをテレビでやっていました。
番組の終わりの方で、質問コーナーがあり作家が答えていました。
ある一人の小学生が、こんな問いかけをしました。
「これって何の役に立つんですか?」
美術家にとって究極の質問かもしれません。
しかし、その作家は少しもうろたえることなく、こう答えました。
「役に立たないものにこそ、本当に大事なものがあるんだよ」

たとえば、小説は文字で成り立っています。
イラストレーションは役に立たない、なくてもいい、と出版社が考えたとしましょう。
書籍のカバーにひとつもイラストレーションがなく文字だけになったら……
書店に入ったときの、あのときめきが半減するのではないでしょうか?
効率主義が行き過ぎると、無味乾燥で詰まらない世の中になります。
本当に大事なものは、一見無駄に思えるところにあるのです。

私たちイラストレーターの仕事は、現代美術ほど高尚ではないかもしれません。
でもよりたくさんの大衆に向けて、ちょっとした何かをお届けするエンターティメントです。
そのイラストレーションを見た人が、ちょっと幸せになれたり、ときめいたり、「かわいい」と思えたり、それだけのことですが……
世の中にとって、とても大事な「小さな魔法」だと思っています。
イラストレーターは、きっと、ほんのちょっとした魔法使いなのです。

イラストレーターの皆さん、ちょっとした何かで、世の中を照らしていこうではないですか。
より幸せな世の中になることを願って。
(森 流一郎)

2012年8月11日土曜日

「イラストノート」NO.23 で、森流一郎のインタビュー記事

現在発売中の「イラストノート」NO.23 で、森流一郎のインタビュー記事が掲載されています。
主に「イラストレーターズ通信」に関してのお話です。
書店で手に取っていただけると幸いです。
57ページから61ページです。

Webサイト「イラストレーターズ通信」の英語ページ完成のお知らせ

Webサイト「イラストレーターズ通信」の英語ページは、第2回、第3回のコンンペページを省いて完成しています。
コンペページの英訳が諸事情により遅れておりますが、ひとまずは英語ページの完成としたいと思います。
http://www.illustrators.jp/e_index.php

英訳はWeb英語スタッフの長谷さちあさんが担当してくださいました。彩さんとその会社の方にもお手伝いいただきました。
英語ページの制作はWebスタッフの彩さんが担当しています。

おかげさまで海外からの訪問者にも分かりやすいサイトになったと思います。
今後世界に向けて情報発信する準備ができたと思います。

ご協力いただいた皆様には心からお礼申し上げます。
ありがとうございます。

引き続き、コンペの英語ページの制作も彩さんに依頼しています。
完成には今しばらくかかりそうです。
お待ちいただければ幸いです。

2012年7月9日月曜日

イラストレーターの皆さんへ「お仕事確認書」の勧め


最近、Webや電子書籍等新しいメディアが成長する中で、イラストレーターの立場を危うくする報告が会員から多く聞かれるようになりました。

イラストレーションの発注時には全くそんな話はなかったのに、作品を納品後、あるいは本が出来上がってから、
「イラストレーターは電子書籍等への2次使用も認めること」
あるいは「著作権は、出版社に譲渡すること」
などの使用許諾書ないし契約書を強要された、という相談・報告が増えているのです。
しかも、ギャランティはあらかじめ決めた額のままで、その中に2次使用料や著作権譲渡の料金も含むというのです。
電子書籍などに2次使用する金額も含むのであれば、お仕事の依頼時に相談するのが発注者のマナーであり、義務です。

大変残念なことですが、最近会員の間で問題となっている「後だし」で著作権譲渡を強要するクライアントは、実は一流の大手出版社なのです。私も含め多くのイラストレーターは子供の頃から親しみ、憧れていたイメージのいい企業です。
あこがれの出版社から、ひどい扱いを受けたときの悲しみは、いかに大きいか、私にも痛いほどわかって、大きな失望を感じています。
この現状を「なんとかしたい」との思いから、このブログを書いています。


下請法でーー
親事業者には、発注にあたって発注内容を明確に記載した書面を交付することが義務づけられています。
つまり、著作権を譲渡することが条件であるならば、最初の依頼時に書面を交付して、お互いに同意する必要があります。
後だしで、著作権譲渡を持ち出して強要するのは下請け法上問題があると考えられます。
つまり違法行為なのです。

親事業者とは、個人事業者のイラストレーターにとっては、資本金が1千万円を超える企業がこれに当たります。問題となっている大手出版社は、当然これに該当します。くわしくは、この下で紹介しているパンフレット「コンテンツ取引と下請法」をご覧ください。

下請法には、「不当な経済上の利益の提供要請の禁止(第4条第2項第3号)」というのもあり、親事業者が著作権や二次使用権などを無償で譲渡・許諾させることが禁じられています。

全部を説明するときりがないのですが、親事業者の義務や禁止事項は、この他にもいろいろとあるので、ぜひ、パンフレット「コンテンツ取引と下請法」をご覧ください。

また、下請法の対象外となる資本金が1千万円までの会社であっても、
取引上優越した地位にある事業者が、優越的地位の濫用行為を行った場合は、独占禁止法上問題となると思われます。

● 下請法に関してはこちら(公正取引委員会のWebサイトです)
 http://www.jftc.go.jp/shitauke/index.html

● 独占禁止法に関してはこちら(公正取引委員会のWebサイトです)
 http://www.jftc.go.jp/dk/index.html

● 公正取引委員会サイト内にあるPDFパンフレット(イラストレーター必読です)
 「コンテンツ取引と下請法」
 http://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.files/contentspamph.pdf

 「優越的地位の濫用」
http://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.files/yuuetsu.pdf



しかし、クライアントからの一方的な契約書や使用許諾書の強要に、いちイラストレーターが対抗することは難しいのが現実でしょう。
多くは仕事を失うことを恐れて、そのまま同意しているのではないでしょうか?

「イラストレーターズ通信」では、お仕事の前に「お仕事確認書」を交わすことを奨励しています。
イラストレーションのサイズ・点数・使用範囲などをあらかじめ書面で確認することで、取引上のトラブルを出来るだけ避けようというものです。

イラストレーターズ通信会員はもちろん、会員以外のイラストレーターにも使用を開放しています。
もしよければご利用ください。

「お仕事確認書」はこちらからダウンロードして下さい。
https://www.dropbox.com/s/aapvof6jx61xnsw/oshigotokakuninnsyo.pdf?dl=0

もちろん万能ではありません。何らかのトラブルになったとしても、「イラストレーターズ通信」では責任を持ちかねます。
また会員以外の皆様からの質問・相談には応じておりません。
恐れ入りますがご了承ください。


イラストレーターの皆さんが、トラブルに巻き込まれることなく、いいお仕事に恵まれることを願っています。


イラストレーターズ通信 主宰 森 流一郎

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追伸:「お仕事確認書」は、ご自身が使いやすいように、内容をアレンジしてもかまいません。
ただし、少しでも内容を変更した場合は、「制作/イラストレーターズ通信」という部分は削除してください。
こちらで把握していない変更が行われたものに、イラストレーターズ通信という名前を使うのはご遠慮ください。

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追伸2:もうずいぶん古いブログが、Twitterで紹介されて、たくさんの方にご覧いただいているようです。そこで、今更ですが、、、現状とあっていない部分や誤字などを修正しました。(2014年5月4日)

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追伸3:「お仕事確認書」を修正し、アップし直しました。
最初の「お仕事確認書」を作ったのは、もうずいぶん昔です。多忙な中、あわてて作ったものの、いろいろと不満もありました。ずっと、「修正したい」と周りにはもらし続けてきました。会員のツイートで、思いがけずたくさんの方に知られることとなったので、「このままではいかん」と、頑張ってみました。一人でも多くのイラストレーターのお役に立てれば幸いです。(2014年5月6日)

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追伸4:イラストレーターズ通信会員の皆さんには、下請法や著作権法について詳しく説明し続けてもう何年にもなるのでよく判ってもらえていると思います。
しかし、会員外の方にはこのブログを読んだだけではよく判らないことも多かろうと思います。
「著作権譲渡ってつまりどういうこと?」
「譲渡すると何か困るの?」
「イラストレーターにとって著作権て何?」
「イラストレーターの権利って?」
「お仕事確認書ってどう使うの?」
「著作権譲渡を迫られているけど、どうしても断れない。どうしたら断れるの?」
「『ガイドラインでイラストレーターは著作権譲渡することが決まっている』っていわれたけど本当なの?(もちろん嘘です)」などなど、、、
残念ながら、ここで簡単にすべてを説明できる才能を持ち合わせておらず、、、力不足で申し訳ないです。
いつか顧問弁護士に監修を頼んで、下請け法や著作権法その他、イラストレーターが知っておくべき法律知識の情報サイトを作りたいと思っています。
とはいえ、私はあまりにも多忙で、多忙で、、、自分の時間がなくなっているのはもちろん、最低限やらねばならないことも出来ないほど忙しい日々が、二十数年続いていて、、、どうにもならない状態です。
いつ時間が出来るかお約束は出来ないのですが、、、気長にお待ちいただけると幸いです。
繰り返しになりますが、イラストレーターズ通信会員以外からの質問や相談には応じかねます。ご了承ください。

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追伸5:「著作権譲渡に応じないことを伝えたら仕事が流れた」「『著作権譲渡に応じていただけるイラストレーターにだけお仕事をお願いしています』と、婉曲に著作権譲渡に応じないと仕事が流れるといわれた」という報告が今もたびたびあります。こうした出版社の姿勢が改まらない場合は、公正取引委員会に相談することを考えています。被害にあった会員は、会員掲示板での報告をお願いします。(2015年4月7日)