2018年7月6日金曜日

プロフェッショナル・イラストレーターのためのカラー設定(その3)

「Adobe Photoshopデータを印刷する際のプリント設定」


今回は、Adobe Photoshopからプリントしても色が一致せず悩んでいる全てのイラストレーターのために、プリント設定のやり方を解説します。 
かつての私は、どうしてもディスプレイとプリントされたものの色が一致せず困っていました。
よく調べもせず、なんとなくの勘だけで試行錯誤を繰り返していたのです。
ちゃんと解説書を読まなくとも、なんとかなると思い込んでいたのでしょう。 
しかし、それは間違いでした。
ちゃんとしたやり方を学ばなければ、意図通りの色でプリントするのはほとんど不可能に近いです。(偶然成功しても再現がまた困難です)
今はこの知識を得ることで、ディスプレイとプリントされたものの色を、簡単に一致させることができるようになりました。
作業の効率が格段に上がっています。
このBlogを読めば、あなたのプロフェッショナル・イラストレーターとしてのスキルも、一段階上がるでしょう。


1)前準備

Adobe Photoshopからイメージ通りの印刷をするには、まずは「ディスプレイのカラー設定」「Adobe Photoshopのカラー設定」の2つがが正しく行われていることが必要です。 
まだの場合は、 
プロフェッショナル・イラストレーターのためのカラー設定(その1) 
プロフェッショナル・イラストレーターのためのカラー設定(その2) 
の2つを先に読んでくださいね。

2)プリンターの種類 

私はEPSON製のインクジェット・プリンターを使用していますが、Canon製も定評があります。 
出来ればA3ノビサイズまで印刷できるものが、オススメです。
これだと、A4雑誌の 見開きイラストレーションが実寸サイズで印刷できます。書籍カバーが表1から表4にかけて描く場合も実寸実寸サイズで印刷できます。こうしたサイズの大きい仕事で、原寸で色見本をつけることもできるわけです。
また、展覧会等に出品するにも充分なサイズです。
個展やグループ展などの際、重宝します。

3)プリント用紙 

プリント用紙も重要です。
より正確な色で印刷するなら、そのプリンターメーカー純正の高画質用の用紙が最適です。
今回は、EPSONの「写真用紙クリスピア」を使用しました。 
展覧会に出品する作品などでは、作品に味を出すために水彩紙や版画用紙などに印刷するのもアリでしょう。
必ずしも、ディスプレイの色と完全一致させる必要はないからです。

4)具体的な手順

Photoshopで印刷したい作品の画像を開きます。 
今回使用するのは、以前ブックカバーの仕事で描いた私の作品です。


Photoshopメニューの「ファイル」から「プリント」を選びます。
すると、下のようなダイアログボックスが開きます。 


「プリンター」は、使用するプリンターの名称を選びます。
「カラー処理」は、「Photoshopによるカラー管理」を選びます。 
かつての私はここで「プリンターによるカラー管理」を選んでいました。
その上で、プリンターの機能で色の微調節を行おうとしていました。
プリンターの色の調節機能を使って赤味を増やしたり、 コントラストを弱めたり‥‥
そうすると、なかなか意図通りの色で印刷できません。
色に満足できず、何度もプリントと微調節を繰り返す羽目になります。
思えば、インクとプリント用紙が大量に無駄となりました‥‥(遠い目)
正確な色で印刷するには、プリンターでの微調節は行わず、 ColorSync(※1)に任せるのが正解なのです。
ここで解説しているのは、この ColorSyncに色合わせを任せてしまう方法です。

「プリンタープロファイル」は、今回使用するプリント用紙「写真用紙クリスピア」のプロファイルを指定します。 
「マッチング方法」は、「知覚的」または「相対的な色域を維持」を選択します。 (参照:プロフェッショナル・イラストレーターのためのカラー設定(その2)
「黒点の補正」 (※2)は、EPSON製プリンターの場合はチェックを入れておきましょう。
Canon製プリンターの場合は、チェックを入れない方がいいようです。 (※3)
その上で、「プリント設定」をクリックします。
下のようなダイアログボックスが開きます。

ここは、プリンターによって画面が違います。
この解説を参考にして、ご利用のプリンターに合わせた設定をして下さい。 
「用紙サイズ」は、使用する用紙のサイズを指定します。
今回の用紙は、A3ノビなので、それを指定しました。
「レイアウト」の文字をクリックして、「カラー・マッチング」を選びます。
 「カラー・マッチング」では、「ColorSync」を選びます。


「カラー・マッチング」の文字をクリックして、今度は「印刷設定」を選びます。

「基本設定」の「用紙種類」では、使用する用紙を指定します。今回は「写真用紙クリスピア」とします。
「カラー調節」は「色補正なし」にしておきます。
「印刷品質」は、「きれい」「高画質」などを選びましょう。 
「双方向印刷」を選ぶと印刷スピードは上がりますが、印刷の美しさは損なわれがちです。 美しい作品を印刷したい場合は、チェックを入れないようにしましょう。

「カラー詳細設定」は無効になっています。


その他の項目は特に意図がなければ、初期設定のままで大丈夫です。 
これで「保存」をクリックします。
すると下の画面に戻ります。


プリンターの電源が入っていること、用紙がセットされていることを確認して、「プリント」をクリックします。 
印刷が始まります。 
印刷が終わるまで、SNSを見るなり、トイレに駆け込むなり、他の仕事をするなりして 、しばし待ちます。
やがて、プリンターの印刷音が終わりーー 
ディスプレイの色と一致した印刷物が仕上がるはずです。 
今回プリントしたもの


参考になったでしょうか?
次回は、Adobe Illustratorからのプリントを解説します。


プロフェッショナル・イラストレーターのためのカラー設定(その1)「ディスプレイのカラー設定」
プロフェッショナル・イラストレーターのためのカラー設定(その2)「Adobe PhotoshopとAdobe Illustratorのカラー設定」

(※1)ColorSyncに関して詳しくはこちら:https://www.weblio.jp/content/ColorSync
(※2)黒点の補正に関して詳しくはこちら:https://okwave.jp/qa/q903249.html
(※3)参考URL:http://cweb.canon.jp/pixus/special/proline/printtech/tech2.html


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