2018年6月8日金曜日

プロフェッショナル・イラストレーターのためのカラー設定(その2)

「Adobe PhotoshopとAdobe Illustratorのカラー設定」


前回は、照明の選び方、パソコン周り、そしてディスプレイのカラー設定についての解説を行いました。 
今回は、Adobe PhotoshopとAdobe Illustratorのカラー設定のやり方を説明していきます。
この二つのソフトは、プロフェッショナル・イラストレーター必携の2大グラフィックソフトです。
これからバリバリ活動していこうという方は、必ず買い揃えましょう。 
  
Adobeのサイトからも購入可能です。
https://www.adobe.com/jp/

Photoshopとillustratorは初期設定のままでもそれなりに使えるのですが、プロフェッショナルイラストレーターなら、カラー設定をカスタマイズして使いたいです。 
それでは、カラー設定のやり方を具体的に見ていきましょう。


1)カラー設定は、「Adobe Bridge」で行う。
Adobe Bridgeは、PhotoshopやIllustratorに同梱されているソフトです。
PhotoshopとIllustratorを購入したら、Bridgeも忘れずにインストールしましょう。
Adobe Bridgeを使えば、PhotoshopとIllustratorの両方のカラー設定が一発で可能です。 
印刷物に使うイラストレーション製作時とWebに使うイラストレーション製作時のカラー設定は異なります。
仕事に合わせてこの二つの設定を切り替えて作業するのが、プロフェッショナル・イラストレーターです。


2)印刷物用のカラー設定の方法
まず、印刷物に使うイラストレーション製作時のカラー設定のやり方から説明します。

Adobe Bridgeのメニューの「編集」から「カラー設定」を選びます。

すると次のような画面が開きます。

初期設定ではこのように「一般用-日本2」となっているはずです。
これを「プリプレス用-日本2」に変更します。

「プリプレス用-日本2」は、Adobeが推奨する印刷物制作用の設定です。「プリプレス用-日本2」を選んだら、「適用」をクリックしましょう。
これで、PhotoshopやIllustratorをはじめとするすべてのAdobe製品のカラー設定は、「プリプレス用-日本2」となります。
印刷物向けのイラストレーションを制作するなら、この設定を使いましょう。


3)Web用のカラー設定の方法
次にWeb用のカラー設定についても説明します。

先ほどと同じく、Adobe Bridgeのメニューの「編集」から「カラー設定」を選びます。



すると次のような画面が開きます。




ここで、「Web・インターネット用-日本」を選びます。

「適用」をクリックして終了です。
これで、PhotoshopやIllustratorをはじめとするすべてのAdobe製品のカラー設定は、「Web・インターネット用-日本」となります。 
Web、インターネット用の画像などはこの設定で制作します。

4)RGBの作業スペースについて
Adobe Bridgeで「プリプレス用-日本2」に設定した状態で、Photoshopのカラー設定を確かめてみましょう。 
Photoshopを起動して、メニュー「編集」から「カラー設定」を選ぶと次のような画面が開きます。

「作業スペース」のRGBは、「Adobe RGB」になっています。
Adobe RGBは、Adobe社がDTP作業用に定義したカラー領域です。
一方、多くのパソコンは初期設定でディスプレイのカラーは、sRGBになっています。
この二つとCMYKの色域の違いを比較してみましょう。


この図で見るとお分かり頂けると思いますが、sRGBの色域は意外に狭く、CMYKで再現可能な色域がカバーしきれていません。
それに比べると、Adobe RGBは色域が広く、CMYKの色域をほぼカバーできます。
このため、DTP用の作業ではAdobe RGBが推奨されています。(※1 )


5)カラー変換時のマッチングについて
今度は、Photoshopの変換オプションを確認します。
Photoshopを起動して、メニュー「編集」から「カラー設定」を選ぶと次のような画面が開きます。


「プリプレス用-日本2」に設定されている場合、「変換オプション」の「マッチング方法」は、「知覚的」となっています。 
一般的にはこの「知覚的」で問題ないのですが、好みによっては「相対的な色域を維持」でも構いません。 

「知覚的」は、色のバランスを重視した変換方法です。色域の外にある色をバランス良く色域内に圧縮する感じです。
ただし、全体的に彩度が下がって、かなりくすんだ仕上がりになります。 
「相対的な色域を維持」は、色域の外にある色を境界付近に圧縮して押し込める変換方法です。
CMYKに収まる色は元の色に近いまま変換されます。「知覚的」に比べると彩度があまり落ちにくいとされています。 
個人的にはこちらの方が自然な変換になるような気もします。 

どちらがいいのかは一概に言えません。
あなたの作風や使われている色にもよるからです。 
自身の作品でいろいろ試してみて、好みの方に設定しておきましょう。

また、 印刷前提の作品をRGBで制作する際は、CMYKで再現可能な色を使うこともプロフェッショナル・イラストレーターに必要なスキルでしょう。
CMYKが苦手なのは、彩度の高い色です。特に青系から緑系にかけての鮮やかな色は苦手です。赤系は比較的RGBとのズレが少ないです。 
CMYKへの変換前にどの色が印刷に出ないかを確認する方法があります。
Photoshopのメニューの「表示」→「色域外警告」を選ぶと、印刷に出ない色がグレー表示に変わります。






6)印刷物とWeb両方で使うイラストレーションはどうするか?

印刷物とWeb両方で使われることが前提のイラストレーションもあります。そんな作品をPhotoshopで制作する場合はどうすればいいのでしょう。 
解像度の関係から、Web用のPhotoshop作品を後から印刷物用に変換することはできません。
印刷物用として制作・納品し、Web用のデータへの変換はデザイナーにお任せするのが一般的です。
しかしそうすると、Web用作品の彩度が落ちてしまいがちです。
イラストレーター側で、CMYKに変換する前のRGBのデータからWeb用のデータを制作してもいいでしょう。
そして、印刷物用、Web用両方を納品するのです。
その方が、納得のいく仕上がりになることも多いと思います。 



2大グラフィックソフトのカラー設定の解説はここまで 。
次回は、グラフィックソフトとプリンターとの色合わせについて解説します。


(※1 )ただし、Adobe RGB全域が表示できるディスプレイは高価です。私は所有していませんが、「iMac Retina 5Kディスプレイモデル」ならば、かなりAdobe RGB全域に近い表示が可能になっているようです。

プロフェッショナル・イラストレーターのためのカラー設定(その1)「ディスプレイのカラー設定」

プロフェッショナル・イラストレーターのためのカラー設定(その3)「Adobe Photoshopデータを印刷する際のプリント設定」


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