2018年6月4日月曜日

プロフェッショナル・イラストレーターのためのカラー設定(その1)

「Macにおけるディスプレイのカラー設定(カラーキャリブレーション)」


イラストレーターの皆さん、「お仕事で描いたイラストレーションが印刷物になって仕上がってきた際になんだかイメージしていた色味と少し違う」そんな経験はありませんか? 
もしかすると、パソコンのカラー設定のどこかがおかしいのかもしれませんよ。
このBlogを参考にして、ご自身のカラー設定を見直してみましょう。
今回は、部屋の照明や環境、そしてディスプレイのカラー設定を解説します。


1)照明は、昼白色(3波長形)の蛍光灯。できれば「色評価用」の製品を。
部屋の照明の色も、ものの見え方に影響します。原画とディスプレイの色味を見比べようとしても、照明の色が正確でなければ、正確な判断はできません。
部屋全体の照明、及びデスクライトは、昼白色の蛍光灯を使いましょう。
一般的な照明は、 次の3色があります。

  • 電球色(温かみのある暖色系の光) 
  • 昼白色(太陽の色に近い自然な光) 
  • 昼光色(青白い光)
このうち昼白色がもっとも昼間の太陽の光に近いのです。
そして昼白色蛍光灯の中でも、特に「3波長形」がオススメです。
太陽光に近い、より自然な色で発光します。
 一般的な電気屋さんで売られています。お店で「3波長型」と書かれているものを選びましょう。




さらに正確な色を再現するのが、印刷物に携わるプロの現場で使われている「色評価用」の蛍光灯です。 
お高いですが、色味にこだわる方は検討するといいでしょう。 
これは一般的な電気屋さんで販売されていません。かなり大きな電気屋さんか蛍光灯などのランプを専門に扱っているお店を探す必要があります。 
直管タイプのものしか販売されていないようです。 



最近はLEDが増えてきました。 
省エネの時代には、こちらの方が合っていると思います。 
しかし、色の正確さでは蛍光灯の方が上と言われています。
LEDを使う場合は、演色性の高い演色性:80Ra以上)、昼白色の製品を選びましょう。

   




2)メガネは無色透明なものを
サングラスを使わないのは当然ですが、一般的な眼鏡でも「ブルーライトカット」として売られているものは、若干黄色っぽく見えます。 
これも正確な色が見えなくなる原因となります。 
メガネは無色透明なものを使いましょう。

疲れ目で困っている方は「ブルーライトカット」のメガネを普段のパソコン作業に使ってもいいと思います。 
しかし、カラーの作品制作時は無色のものに付け替えましょう。


3)机周りとデスクトップ画像
机周りやデスクトップ画像には、色の強いものは置かないようにしましょう。 
周りの色の影響で、色の見え方が変わってくるからです。 
また、パソコンの向かい側に窓があると、液晶画面に窓の外の光が写り込みやすくなります。 
パソコンの位置にも気をつけましょう。


4)ディスプレイ(MACOS)の設定
本格的にディスプレイの色を合わせるなら、キャリブレーション用の機材を購入してカラー設定をしましょう。
アマゾンで販売されているキャリブレーション用機材はこちら
しかし現実には、キャリブレーション用の機材を使っているイラストレーターは少数派です。 
私も使っていません。 
プロフェッショナル・イラストレーターの多くが使っているiMacやMac Bookといった製品は優秀で、そのまま使用しても色のズレは少ないからです。 
ここではそうした一般的なイラストレーターに向けて、「キャリブレーション用の機材は使わずに、iMacやMac Bookでのディスプレイの設定をどうすればよいのか」を解説していきます。 

ちなみにーー 
私が最初に買ったパソコンは、Power Macintosh 7600でした。 (もう20年以上前です)
ディスプレイは別売りでした。 
Apple製品は高価だったので、三菱製品を購入しました。 
この三菱製ディスプレイのプロファイルをインターネットでダウンロードして使っていました。 
しかし実際に印刷物のデータを納品してみると、コントラストが強すぎる色校正が上がってきて面食らいました。 
ディスプレイの色が合ってなかったのです。 
他社製品を組み合わせると、色を合わせるのが難しいと感じました。
それ以降、パソコン本体とディスプレイは同じApple製品で揃えることにしています。 
現在Appleはディスプレイ単体での発売は行っていないので、一体型のiMacやMac Bookのシリーズしか選択肢はないことになります。  

しかし、MacOSの初期設定では、「ディスプレイの色温度は6500k(※1)、ガンマ値は2.2(※2)」になっています。
実は、これは印刷用のデータを制作するには不向きなのです。 
一般商業印刷用(雑誌や書籍など)のイラストレーションを制作するなら、「色温度は5000k」にしましょう。 
一般的な商業印刷業界では、この色温度に統一しているからです。(※4)あなただけが違う色温度にしていると、どうしても色がズレてしまうのです。

一方のガンマ値は、印刷業界においては「1.8」が推奨されています。(※3) 
ネット上には、「Photoshopのカラープロファイルにガンマ値は書き込まれるので、2.2でも問題ない」とする記述もあります。
しかし私たちプロフェッショナル・イラストレーターは、印刷用のPhotoshopデータ納品時にカラープロファイルを書き込みません。 
だから、「本当に2.2でいいのか?」という疑問も感じます。 
「2.2」でもいいのかもしれませんが、私は「1.8」に設定しています。 
「1.8ではダメだ」という記述はどこにもないので、こちらのほうが安心なのです。 
Webの仕事なら、一般的なパソコンの色に合わせて、「色温度が6500k」「ガンマ値は2.2」にして作業しましょう。


ディスプレイの画面には多少の個体差もあります。
長年使っていると徐々に劣化もしてきます。 
プロフェッショナル・イラストレーターならば、購入時と年に1回程度、ディスプレイのカラー設定が必要なのです。

では、ここからーー 
印刷物のデーター制作用に、ディスプレイを「色温度は5000k。ガンマ値は1.8」に設定する方法を順を追って説明していきます。
まずは、MACOSの「システム環境設定」を開きます。(MACOS10.11.6における設定です)
すると、下のような画面となります。 





この中の「ディスプレイ」を選びます。すると下のような画面が開きます。



「カラー」を選びます。
すると下のような画面が開きます。

iMacのディスプレイプロファイルは、初期設定では一番上の「iMac」にされているはずです。iMacに付属のディスプレイのプロファイルが当てはめられているのです。このプロファイルから調節しましょう。
optionキーを押しながら「補正」ボタンをクリックします。(MACOS10.10までの場合は、optionキーは不要です 
すると下のような画面が開きます。




詳細モードにチェックを入れて、「続ける」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。



非常にわかりにくくて、結構大変なのですが‥‥ 
指示に従って設定します。
終わったら、「続ける」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。




引き続き、指示に従って設定します。
終わったら、「続ける」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。

さらに、指示に従って設定します。
終わったら、「続ける」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。




「まだあるのか」と言いたくなりますが‥‥根気強く、指示に従って設定します。
終わったら、「続ける」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。

いい加減投げ出したくもなりますが、ぐっとこらえて、指示に従って設定します。
終わったら、「続ける」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。 


ここで1.8を選びます。
終わったら、「続ける」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。 


ホワイトポイントは、「D50(5000k)」を選びます。
最初は、黄色っぽく感じるかもしれません。
しかし、目が慣れてくると、これが自然な色に見えてきます。
終わったら、「続ける」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。  



 他のユーザーはいないのでこのまま「続ける」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。  

わかりやすい任意の名前をつけます。 
今回は「iMac G1.8 5000k2」としました。 
さらに、「続ける」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。

 このまま「完了」をクリックします。
すると下のような画面が開きます。



新しいプロファイルが追加されていることを確認します。
印刷物を製作する際はこのプロファイルを使います。 
Web用の作品を製作する時のため、「色温度6500k」「ガンマ値2.2」のプロファイルも作っておきましょう。  
この二つをを仕事に合わせて切り替えて使うのが、プロフェッショナル・イラストレーターです。

なお、MACOS10.12ではディスプレイの設定で、「Night Shift」 というものが登場しました。夜になると、自動的に色が暖色系に変わるそうです。時間帯によって作品の色が変わっていたら仕事になりませんね。これは使わないようにしましょう。



今回はここまでです。
次回は、アドビ・イラストレーターやアドビ・フォトショップにおけるカラー設定を見ていきます。



続きはこちら


(※1)色温度とは、光の色を定量的な数値で表現する尺度のこと。色温度が高いと光は青味がかります。色温度が低いと黄色味がかり、さらに低いとオレンジがかります。昼間の太陽光は5000kから6500kとされています。詳しくはこちらhttps://ja.wikipedia.org/wiki/色温度

(※2)「ガンマとは何か」を知りたい方は、こちらが詳しいです。http://www.eizo.co.jp/eizolibrary/other/itmedia02_07/
(※3)『カラー図解 DTP&印刷スーパー仕組み事典2017』より。
(※4)ネット上で注文できる簡易印刷の場合、一般ユーザーに多い「色温度6500k」「ガンマ値2.2」に合わせているケースも多いようです。ネット上で直接印刷会社に印刷を発注する場合は、印刷会社に確認しましょう。







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