2018年5月18日金曜日

イラストレーションや印刷物のスキャニングのやり方(後編)

さて、「イラストレーションや印刷物のスキャニングのやり方(中編)」の続きです。

中編では、取り込んだ画像をフォトショップで開いて、周りの不要な部分をカットするところまで解説しました。

今回は、色味を微調節し、画像が一部汚くなってしまている部分を修復、最後に印刷用データに最適化して保存します。

8)色味の微調節
本のカバーと取り込まれた画像データの色を比較して、色味が正確かどうか判断します。
微妙に異なっていることが分かります。 
そこで、Photoshopの色調補正の機能を使ってデータの色を印刷物の色に近づけます。
Photoshopのメニューから「イメージ」→「色調補正」→「トーンカーブ」を使って色の調節をしましょう。
「トーンカーブ」を選ぶと、下のようなダイアログボックスが開きます。



レッドは若干下げました。レッドが少し弱くなります。



グリーンはほんの少し上げます。グリーンが強めになります。




ブルーもほんの少し下げます。ブルーが少し弱くなります。








RGB全体は、少し上げて色を薄めにしました。さらにコントラストを強めています。(黒い線です)


これで、印刷物とほぼ同じ色になりました。


こうしたトーンカーブの使い方を詳しく解説すると、かなり長くなってしまうので今回は割愛しますね。
いずれ、詳しく解説したいと思います。

ところで、今回はほぼ同じ色になりましたが、どうしてもならない場合もあります。
特にアナログ作品は注意が必要です。絵の具の色がそのまま印刷で再現できるわけではありません。
残念なことではありますが、4色印刷で再現できる色には限りがあるのです。
ここで一旦保存しておきます。


9)汚くなっている部分の修復
拡大し、画像の一部が汚くなっていないか確認しましょう。
小さなゴミや汚れがある場合もあります。
汚れやゴミがあれば、どんなに小さくとも修復します。 
今回は、画像左端あたり、カバーの折れ目の部分が汚くなっていることに気がつきました。


ここを修復します。
使うのは「コピースタンプツール」です。
ハンコのようなマークのツールですね。

これは、画像の一部を拾って、その画像の一部をスタンプのように使えるツールです。
このスタンプを選んで、オプションキーを押しながら、画像の任意の場所をクリックすると、その部分の画像を拾って、スタンプのように描けるようになります。
今回は、すぐ右横あたりの画像を拾い、そのスタンプを使って、汚くなっている部分の上に修復を加えました。
汚くなっていた部分が消え、周りと同化します。


綺麗になりましたね。
ここで一旦保存しておきます。

10)カラーモードの変更
このままでは印刷データとしては不向きです。
カラーモードを直します。
現在は下のようになっているはずです。

「RGBカラー」は「CMYKカラー」に変更します。
印刷用のデータは、かならず「CMYKカラー」にしてから納品しましょう。(Webやモニターに表示されることが目的のデータは、「RGBカラー」のままで納品しましょう。)
この変換で色が変わってしまうことがあります。 
特に彩度が落ちることが多いです。 
彩度が落ちたことが気になる場合は、Photoshopのメニューの「イメージ」→「色調補正」→「色相・彩度」で彩度をあげてみるのもいいでしょう。
しかし色の性質上、RGBの色に完全に一致させることは不可能です。
ある程度まで近似の色になったら、あとは諦めるしかありません。
さらにーー
「16bit/チャンネル」は、「8bitチャンネル」に変更しましょう。




ここで一旦保存しておきましょう。


11)最後にEPS形式で保存します。

印刷用に納品するデータは、最終的にはEPS形式で保存します。(ただし、クライアントやデザイナーからほかの形式を指定されている場合はそれに従ってください)

Webやモニターに表示される作品の場合は、JPEG形式(画像によってはGIF形式が最適な場合もあります。)で納品しましょう。

EPS形式での保存の仕方です。
Photoshopメニューの「ファイル」→「別名で保存」を選びます。
するとこんなダイアログボックスが出てきます。
「フォーマット」で、「Photoshop EPS」を選びます。
チェック欄が幾つかありますが、すべてにチェックを入れないで「保存」をクリックします。
すると、「EPSオプション」というダイアログボックスが出てきます。
上のように「TIFF(8bit/pixel)」「バイナリ」を選び、その他のチェック欄は空欄にします。
特に指示がなければ、エンコーディングは「バイナリ」にしましょう。
印刷目的のデータであれば、「バイナリ」が間違いないです。 
ただし、団体の年鑑のデータは、容量を減らすため「JPEG(最高画質)」でお願いしています。 
以上で完成です。




今回紹介したのは、あくまで私が普段やっている方法です。
それぞれのイラストレーターが自分なりの方法を持っているかもしれません。
抑えるべき部分を押さえていれば、多少やり方が違ってもいいと思います。
みなさんの参考になれば幸いです。 



イラストレーションや印刷物のスキャニングのやり方(前編)

イラストレーションや印刷物のスキャニングのやり方(中編)




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